東京地方裁判所 昭和41年(ワ)532号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由]すなわち、建設工事の請負ならびに設計監理を業とする被告会社は昭和三八年二月頃訴外株式会社富士銀行から同行渋谷支店の建設工事を請負い、その基礎および地下室工事のために廃棄しなければならない土塊すなわち残土の搬出を訴外日本土木興業株式会社(以下訴外日本土木という)に下請させたこと、訴外日本土木は同社所有の貨物自動車だけでは足りなかつたので、右残土搬出作業の一部をさらに訴外藤原運送有限会社および被告茂木に下請させ、同被告の所有である被告車を同被告の被用者である訴外野中が運転してこれに当つていた(いわゆる代車)こと、右残土搬出作業に代車を使用することは被告会社もこれを黙認していたこと、被告会社は工事現場附近が繁華街であることを考慮して原則として夜間の搬出を指示し、残土を貨物自動車に積込む作業は被告会社の被用者がなし、一日一台の車が五、六回位往復し、その積出しについては被告会社の被用者が現場監督者として、訴外日本土木の被用者とともにその指示監督に当つていたこと、残土の廃棄場所については被告会社は特に指示はしなかつた(いわゆる自由処分)が、それが高井戸方面であることは下請人らから聞いて了知していたこと、被告茂木は貨物自動車三台を所有し、運転手三人を使用していたがいわゆる代車の仕事が多く自らも運転作業に従事することもあるごく小規模の経営であり、本件事故の際は痔の手術後で休養しており、訴外野中の残土運搬の実際の監督には従事していなかつたこと、本件事故は訴外野中が被告車を運転して、被告会社の渋谷工事現場から残土を高井戸に廃棄して、再び残土を搬出すべく右工事現場に引き返す途中に発生したものであること、以上の各事実が認められ、これに反する証拠はない。
右の各事実によれば、被告会社は被告車の運行につき一般的に支配を及ぼしうる地位にあつたものというべく、したがつていわゆる被告車を自己のために運行の用に供する者としてその運行によつて生じた後記損害を賠償する責任がある。(羽生雅則)